(株)ライトレール

交通に関する情報やイベント案内を発信します。

カテゴリ: 交通問題

阿部等が寄稿または取材を受けた記事(2020.7.14時点で11件)

【沿線革命023】京浜急行と京成電鉄を直結して羽田と成田を近付けるでは、品川-日暮里の複線が4つから7つも並ぶ線路の直上を重層利用し、大深度地下よりも安く早く実現することを提案しました。

【沿線革命022】モノレール東京延伸と7駅増設、将来はスカイツリーへ延伸を!では、同様に線路上空を活用して、東京モノレールを東京へ、さらに将来は上野・スカイツリーへ延伸することを提案しました。

さらに、リニア中央新幹線の品川駅も東京駅も駅間も東海道新幹線の直上に建設できないかとも書きました。

「荒唐無稽」「非現実的」「リニアは品川地下終点を前提に詳細設計中で変更できるはずがない」等々、多数の反対意見をお受けすることを覚悟の上で書きました。そもそも、国民の意識としては都心の線路空間は公共用地だとしても、現実はJR東日本やJR東海の私有地であり、私ごときがその使い方を提案するなどおこがましいことです。

しかし、東京都心の鉄道ネットワークを如何に充実できるかは日本の行く末を決するほどに重要なことと考え、あえて問題提起しました。JR東日本からもJR東海からも「ぜひ実現したい」などのご連絡はありませんが、幸いなことに「人の土地を使った勝手な提案を出すな!」といったクレームはありません。

明治の始めに3,000万人だった日本の人口は、60年後の昭和初期には6,000万人に倍増し、さらに60年後の昭和末期には1.2億人に倍増しました。同じ期間に、東京圏は300万人→1,000万人→3,000万人と60年毎に3倍増を繰返しました。交通に関して、120年間の内の最後の30年間は自動車の貢献が大ですが、それ以前の90年間は鉄道の貢献が大です。

人類史上に冠たる、平和で豊かな東京の3,000万人都市圏は、先人達の努力と苦労の結晶である高機能な鉄道ネットワークがあればこそ構築できたのです。人口稠密だから世界でも稀有な税金頼りでない鉄道事業が成立したのではなく、シッカリした鉄道を創れたから人口稠密になったと私は見ます。

もちろん、東京大都市圏は、電気・ガス・水道・通信その他の基礎インフラが整備され、鉄道以外の政官民の様々な成果があればこそ成立したのですが、鉄道の充実が大きな役割を果たしたと見れるのではないでしょうか。

1872年の新橋-横浜鉄道開業から1914年の東京駅開業までは42年、1925年の神田-上野開業による山手線全通までには53年を要しました。東北新幹線は1982年の大宮-盛岡開業から1991年の東京-上野開業まで9年余計に要しました。1974年の上野-東京の東北本線の運行停止から2015年の上野東京ライン開業まで41年を要しました。泉岳寺-押上を新東京経由で大深度地下で結ぶ都心直結線構想は実現の見通しがありません。

都心への鉄道の建設はことほど左様に難しいのです。そして、建設さえできれば社会の生産性向上に爆発的な能力を発揮します。品川-日暮里の、東京圏全体から見たらごくわずかの面積でどれだけの人を運んでいるかを、同じ面積の道路で運んでいる人数と比べると目が眩みます。

日本は少子・高齢化が着々と進み、50年後の社会の姿を想像した時、背筋が寒くなります。破局的な未来を回避するには、少子・高齢化に備えた社会作りばかりでなく、少子・高齢化を改め「産めよ増やせよ」を進めることも不可欠ではないでしょうか。

今回の提案は、かつて、日本の人口を倍増・倍増させ、東京圏の人口を3倍増・3倍増させるのに大きな役割を果たした鉄道が、もう一度重大な役割を果たさなければいけないと念じてのものです。

講談社「現代ビジネス」にて、住みたい街2015コーナー【沿線革命】という63回の連載を書きました。

東京圏の鉄道を中心とした交通に関して、構想や計画、また最近の動きを紹介し、さらなる改善の提案をまとめたものです。意表なところでは、大雨時のダムの制御方法の問題点について2回書きました。以下の各テーマ名をクリックすると、それぞれの記事へジャンプします。

東京の交通全般
 【001】2014.11.27 東京の鉄道新路線・新駅は五輪までにこう進化
 【006】2014.12.25 東京駅開業100周年から鉄道の今後100年を考える
 【008】2015.01.01 交通イノベーションによる沿線革命元年、朝日新聞の鉄道報道に異議あり
 【014】2015.01.22 これからの東京を考えるために読者の皆様の声に耳を傾ける
 【051】2015.07.16 新国立競技場の問題とダブって見える東京圏の鉄道計画
 【062】2015.10.01 「JR東日本アプリ」の列車位置情報は何の役に立つ?

上野東京ライン
 【002】2014.12.05 上野東京ラインの開業がもたらす恩恵
 【003】2014.12.11 上野東京ライン開業で混雑緩和も、どうなる上野の未来?
 【004】2014.12.18 上野東京ライン開業で東京以北の利便性をさらに高める提案
 【005】2014.12.22 上野東京ライン開業で浦和は武蔵小杉に続くか
 【029】2015.03.16 上野東京ライン開業でこんなに便利になる、もっと便利にできる
 【030】2015.03.19 上野東京ラインの「座れない」「混雑」「寝過ごし」を「跳ね上げ式座席+ICカード」で解決
 【031】2015.03.24 上野東京ラインの「トラブル波及」「分かりにくい行先」を「やり過ぎない直通運転」で解決
 【032】2015.03.27 上野東京ラインの最先端の建設技術を応用して品川―日暮里を重層化!

湾岸部の交通
 【007】2014.12.29 勝どき、晴海、豊洲・・・人が急増する湾岸部の「鉄道不足」の将来
 【009】2015.01.05 銀座-晴海に路面電車ができる?
 【010】2015.01.08 銀座-晴海のBRT計画の需要予測に問題あり!
 【011】2015.01.12 湾岸の交通を劇的に良くするBRTのルートと運行私案
 【012】2015.01.15 ゆりかもめ延伸、湾岸新地下鉄の可能性は?
 【013】2015.01.19 有楽町から新豊洲まで晴海通り上にロープウェイを!
 【024】2015.02.27 勝どき駅の混雑はダイヤの工夫で大幅緩和!
 【026】2015.03.05 湾岸部の「鉄道不足」をBRTが救う、東京都が中間整理
 【040】2015.04.30 東京都発表の湾岸BRT基本計画は中身より外見優先?
 【043】2015.05.22 「東西線混雑&湾岸部鉄道不足」の解消へ、豊洲-住吉の新線を東京五輪までに
 【044】2015.05.28 人口急増の湾岸部の交通を良くできるか、あと半年が勝負
 【052】2015.07.23 東京臨海部へは地下鉄でなくロープウェイを!

羽田空港アクセス
 【019】2015.02.09 乱立する羽田空港への新しいアクセス鉄道構想一覧
 【020】2015.02.12 羽田空港へは新幹線の新線を作るべきだ!
 【021】2015.02.16 羽田空港への南武線の乗り入れで500万人近くが便利に
 【022】2015.02.19 モノレール東京延伸と7駅増設、将来はスカイツリーへ延伸を!
 【023】2015.02.23 京浜急行と京成電鉄を直結して羽田と成田を近付ける
 【033】2015.03.31 便利な蒲蒲線を安く早く実現するアッと驚く方策
 【034】2015.04.05 羽田空港アクセス鉄道を交通整理して全体最適に

中央快速線
 【025】2015.03.03 中央快速線グリーン車導入に高まる期待
 【027】2015.03.10 グリーン車2両では不足、「千鳥停車」で速くて混まない中央快速線に!
 【028】2015.03.12 中央快速線にグリーン車導入より、早く安く「座れる」を実現

東西線
 【035】2015.04.10 東西線が日本一の混雑路線に!?
 【038】2015.04.20 東西線の日本一の混雑解消へ、南砂町・木場・茅場町などを大改良
 【039】2015.04.23 東西線の混雑と遅延は、ドア閉めと同時の出発だけで目に見えて緩和!
 【041】2015.05.07 東西線のドア閉め完了から出発まで16秒を7秒とできれば遅延がなくなる!?
 【059】2015.09.10 東西線は九段下折り返し線の改良で混雑と遅延を解消できるか?

夜行寝台新幹線
 【055】2015.08.13 新幹線の夜行運行でお盆の混雑は解消できる、山陽新幹線と東北新幹線の事故対策も
 【056】2015.08.20 夜行寝台新幹線なら、こんなに時間を有効活用できる!
 【057】2015.08.27 「北斗星」墜つ、新たな時代のブルトレは夜行寝台新幹線!

その他路線
 【015】2015.01.26 小田急線、代々木上原-向ヶ丘遊園の複々線化完成後のダイヤを考えた
 【016】2015.01.29 小田急線の複々線化を機に「千鳥停車」導入で通勤ラッシュ&遅延を解消!
 【017】2015.02.03 井の頭線の朝夕ラッシュは「千鳥停車」で大幅にサービス改善!
 【018】2015.02.05 「渋谷の出発を23秒早く」他、井の頭線の価値を高める鉄道イノベーション
 【042】2015.05.15 経営危機の湘南モノレールをドル箱路線に

鉄道事故
 【036】2015.04.13 山手線事故の原因は? 折り返しを多く、運転再開を早くできないか?
 【037】2015.04.17 山手線事故、3時間で運転再開できた!?
 【053】2015.07.30 もう遅延はゴメンだ「線路に人立入」と「ダイヤの乱れ」はこうして防げる
 【054】2015.08.06 京浜東北線・桜木町架線断線、埼玉県民への大迷惑はこうすれば防げる
 【063】“世界一の鉄道”に事件・トラブル多発!?

大地震とテロへの備え
 【045】2015.06.05 平日朝8時に首都直下地震に襲われたら鉄道はどうなる?
 【046】2015.06.12 鉄道が平日朝8時に首都直下地震に襲われても被害を最小に
 【047】2015.06.19 鉄道の首都直下地震への備えをさらに考える
 【048】2015.06.25 地震発生! 鉄道をいち早く運転再開させるには
 049】2015.07.02 東海道新幹線 焼身自殺による火災事故 鉄道テロ対策が急務だ!
 【050】2015.07.09 鉄道テロ対策は、手荷物検査より不審者検知・追跡システムを!
 【058】2015.09.03 JR連続不審火、首都直下地震…「防災の日」に鉄道の安全対策を考える

ダム問題
 【060】2015.09.17 鬼怒川の堤防決壊は、上流ダムを適正に管理していれば起きなかった!?
 【061】2015.09.24 鬼怒川の堤防決壊を繰り返さないための上流ダムの操作方法は?

2015.01.22(木)の読者の皆様との意見交換会は大変有意義でした。
 http://light-rail.blog.jp/archives/1016448641.html

 JR北問題に関して、全国で22日(水)の6紙に続き、23日(木)は10紙、24日(金)は2紙が社説で取上げ、同内容は1つもありません。全国的に関心が高く、地方の公共交通の未来を拓く議論に結び付くことを願っています。
 23,24日分を整理し、先のノートでお知らせした22日分と同様のマークを付けました。
 残念ながら、JR北問題の根幹原因に迫るものや、地方の交通を維持・活性化する仕組みを提言する建設的なものはありません。一方、JR北はコスト削減のために社員を民営化前の4分の1、発足時の約半分の7,000人に減らしたとの具体的な記述があり、現場従事員への聞取りでは人手不足と予算不足の訴えが多かったと言います。
 問題解決は、根幹原因の抽出と解決策の実行の2段階に分かれます。後者は、様々な代替案が考えられ、また立場により利害が異なるので意見が分かれます。しかし前者は、客観的事実を詳らかにすることにより、万人共通の理解を得られるはずです。朝日「耕論」に解決策案も掲載されましたが、ここでは触れず、根幹原因に絞ってお伝えします。
 根幹原因「経営安定基金の運用益減と高速道路無料化等の民業圧迫により財務状況が厳しくなり、賃金抑制・要員削減・投資先送りせざるを得なくなったこと」は、私の主義主張ではなく、客観的事実に基づく論理的帰結です。3日間で18本の社説での多くの指摘とも合致します。
 北海道内の鉄道経営が赤字となること自体は、責められることでも好ましからざることでもありません。問題は安全かつ便利な交通サービスを適正なコストで実現できるかであり、コスト過小で安全や利便性を損なっても、放漫経営でコスト過大でもいけません。道路も空港も港湾も、北海道内で収支計算したら同様に赤字です。それでも資金が回る仕掛けになっているから、大きな問題は生じず社会的に持続できているのです。
 JR北は、能率的な経営の元で適正な交通サービスを実現し500億円弱/年の赤字が生じることを前提に発足しました。赤字を減らすには、不採算路線の廃止・運賃値上げという選択肢がありましたが、そうしないという運輸政策を日本国として選び、経営安定基金6,800億円の運用益で赤字補填することとしました。
 その後、想定外の低金利となり、2011年に若干の増額措置はされたものの不充分で、運用益は200数十億円/年も減りました。さらに、税金を投じた前自公政権の高速1000円施策と民主党政権の高速無料化により、最大数十億円/年の減収を強いられました。JR北の経営陣や社員の努力不足が原因ではなく併せて250億円/年の財務悪化が生じ、それでも経営破綻させないには賃金抑制・要員削減・投資先送りせざるを得ませんでした。
 1人当り人件費を1000万円/年とすると、発足時より2500人少ない人手で、高速化・増便により増えた業務量を賄ったということです。社員減の6000人と人数が異なるのは、外注化により以前は社員が担った業務の一部を人件費の低い外注社員にシフトさせたからです。
 根幹原因が万人共通の理解となれば、石破幹事長の言われる「誰が経営しても無理」が正しく、経営陣を一掃して外部人材を登用するだけでは問題解決できないことが分かります。日本国として、北海道を見捨てず、不採算路線の廃止・運賃値上げという運輸政策を採らないならば、500億円弱/年の赤字を賄う財政措置を用意しなければいけません。
 なお、私はJR北の関係者をどう処分すべきかに関しては中立です。外部要因ばかりを挙げ、JR出身の内輪仲間として関係者を免罪すべきと主張しているわけではありません。逆に、関係者を徹底的に断罪すべきとも考えません。
 18本の社説に表れているように、根幹原因の理解が社会に広まっていません。根幹原因の理解が広まり、それを踏まえた解決策が立案・実行され、さらには地方の公共交通の未来を拓くことにお役立ちしたく願っています。

 不祥事の続くJR北に対する国の厳しい処分が発表され、昨日の読売・朝日・毎日にて1面トップでした。各紙の社説を全て整理している便利なサイトを活用し、JR北問題を取上げた読売・朝日・毎日・北海道・信濃毎日・高知新聞の社説を整理しました。
 各紙ともJR北を徹底糾弾し国の厳しい処分は当然とする一方、根幹原因に迫る分析や論説は不充分です。以下にマークを付けました。
  ①根幹原因の解決に向けた問題提起
  ②  〃  の結果として起きた重要な事実の指摘
  ③  〃  を斟酌しない表面的な論評
  ④  〃  の解決後に適正に対処して解決できる問題
 ①は、一般論・抽象論ばかりで具体論に欠けます。地元紙の北海道新聞が、北の鉄路を守りたい気持ちに基づき、「十分な対策には資金と人材の裏付けが欠かせない」「政府も単に命令を発するだけでなく、現路線の維持を前提に具体的な支援策を示すべき」と問題提起しているくらいです。
 ②は、根幹原因を明確に指摘するものはありません。根幹原因は、経営安定基金の運用益減と高速道路無料化等の民業圧迫により賃金抑制・要員削減・投資先送りせざるを得なくなったことです。その結果として起きた重要な事実がいくつも指摘されています。
 ③は、何紙もが社長解任や外部人材登用を求めますが、自民党の石破幹事長が「誰が経営しても無理」と発言しています。 根幹原因にメスを入れない限り「誰が経営しても無理」ですし、メスさえ入れれば「適任者が経営すれば抜本解決」できます。
 ④は、何紙もが組合問題を挙げていますが、組合が先鋭化した根幹原因は、賃金抑制・要員削減を進めて報酬と労働条件を悪化させた上に、現場が真摯に求めた工事要求の一部未実施を20年間続けたことです。組合問題は原因ではなく結果であり、賃金・要員・投資の適正化こそが求められます。
 私も取材を受けた朝日新聞「耕論」にて、仁杉元国鉄総裁はご自身の体験に基づき「安全を確保する大前提は端的に言うとカネと人。お金がなければ、たとえやりたくてもできない。労使関係も最終的には財源次第という面がある。」と言われました。
 新年ご挨拶の3つ目にJR北問題を挙げました。社会の関心が高まり、JR北の経営を抜本的に改革する、もっと広く言えば地方の交通を維持・活性化する仕組みを構築する、1987年の国鉄改革で積み残された問題を解決するチャンス到来です。

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